県政・県議会 - 県議会

3月6日、県議会2月定例会の予算委員会で、質問しました

カテゴリー:

 3月6日、2024年2月議会定例会の予算委員会で、1問1答30分の質疑に立ちました。質問内容を公開します。

 早速質疑に入ります。

(1)被災者支援に関して

 能登半島地震における上下水道の復旧については、全国から水道事業者も応援に入っています。災害復旧費は、国の財政支援が3分の2入るようですが、市町の負担は3分の1。かねてから自治体財政が脆弱だったこともあり、給水施設や水道管の老朽化が進んでいるもとでの地震で、被災も大規模になったと想像します。

 災害からの復旧費用はその後の上下水道料金に跳ね返るのではないか、との懸念も報道される一方、上下水道復旧に関する県の予算措置は見あたりません。

県としては、市町の上下水道の復旧後、市町民への負担はどのようになると考えているか。ほかに国の支援メニューなどはないのか、県としての支援策は考えていないか、お聞きします。

仮復旧の上に本復旧があり、地元負担はかさみます。地元負担を極力抑えるよう要望します。

 次に、全国から応援にきてもらっている職員の給与や手当の財政負担はどうなっているのか。その現状をお聞かせください。この面でも、財政的負担が復旧の障害にならないよう、県としても努力してほしと思います。

 次に、奥能登2市2町では、あらゆる分野でマンパワーが不足し、被災者への必要な支援などが滞っています。その背景に、職員の削減があると考えます。総務省は、「三位一体の」改革と並行して、全自治体に対して地方行政改革の「集中プラン」策定を2005年3月に示しました。これにより、自治体職員及び給与の削減目標の設定を求めるとともに、公共サービスへの民間企業の参入を促すために、アウトソーシングや指定管理者制度、PFIなどを導入。何より公務員の削減は、災害時の安否確認や救援活動、被害調査復旧・復興事業に大きな支障をきたしています。

総務省地方公共団体定員管理調査によると、被災市町の一般行政職の増減は

 …輪島市:2005年387人が2020年には270人と117人減、増減率-30.3%

 …珠洲市:同じく233人が166人に、67人減、-28.8%

 …穴水町:96人が86人に、10人減、-10.4%

 …能登町:310人が207人に、103人減、―33.2%

県としてはこうした実態をどのように認識しているでしょうか、見解をお聞きします。

 被災自治体の幹部の方は、職員減で3つの課を1つに統合せざるを得なかった。そこに今回の政府の生活・生業パッケージがくると、仕事が10くらい増えるのではないか、との悲鳴をあげているのが実情です。

国に、人的支援を従来の枠を超えて大規模に要請すべきと考えます。

(2)今後にいかすべき教訓について

ア)地震被害想定が見直しされなかった問題の認識

次に、今後にいかすべき教訓についていくつかお聞きします。

 今回の災害対応について、根本的には県の地震被害想定が1997年当時からの想定から見直されなかったことが、様々な対応の遅れにつながったと指摘されています。事実、県の被害想定は、能登半島北方沖の地震をマグニチュード7・0とし、「ごく局地的な災害で、災害度は低い」、最も被害が集中する輪島市でも、建物全壊は115棟、避難者数も1085人です。

 県の災害対策危機管理アドバイザーも務める、室崎益輝神戸大学名誉教授は、「しんぶん赤旗」2月4日付で、こう述べています。

 ~能登半島地震では2007年も最大震度6強を観測する地震が起きています。同様の地震が再び起きることを念頭においた対応が必要でした。

 悔やまれるのは、地域の高齢化や過疎化といった社会情勢の変化を反映できなかったことです。…根本には「すぐには地震は来ない」と考えていた面もあります。それでも、能登半島で群発地震が起こりだし、それを踏まえ見直しは始めたものの、見直す前に地震が起きてしまった。すぐに、より大きな地震を想定していれば、被害の「想定」と「実際」の乖離をもっと小さくできた可能性がありました。

 この指摘を知事はどう受け止めるでしょうか。 

 私はこの間の県政が、大規模道路などの大型開発を優先させ、災害対策を含めた暮らし応援が後回しだったことに起因するものと言わざるを得ません。能登半島地震を受け、すでに防災計画の見直しに着手した県もあり、防災計画の見直しを要望するものです。

 もうひとつ指摘しなければならいのは、道路啓開計画がなかった、という問題です。

 国土交通省によれば、「道路啓開とは、地震や大雪などの災害発生時に、緊急通行車両等の通行のため早急に最低限の瓦れき処理や車両の移動等を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを確保することをいう」とされ、計画には、実際の被害に遭った際に、どの道路を優先的に普及させ、どの業者に声を掛けるか、重機や資材をどう調達し、がれきをどこに運ぶのか、などの細かい点まで書き込んでいるとのことです。

 ところが、この計画が北陸地方整備局だけが策定していなかったことが、令和5年4月に発表された総務省行政評価局の「災害時の道路啓開に関する実態調査」で明らかにされました。

 北陸地方整備局には、石川県、富山県、新潟県などが含まれ、関係者は「計画を策定しなければ、人員や費用の面でも事前の計算ができない。多くの県は建設業協会と災害協定は結んではいるが、実際にどのように動いてもらうかは、いざ災害が起きてから考えるのでは遅い」と指摘します。

 実際、高知県では南海トラフ地震発生を念頭に、国や県、自衛隊等により構成する「高知県道路啓開計画作成検討協議会」が設置され、計画が策定されています。

県の立場からみて、この計画がなかったことで、どういう問題が生じたと考えているか、所見を伺います。

 国ともこの問題を共有して、今後の教訓として生かす必要があると考えます。

ウ)初動の遅れ

 このことにも関連し、「初動の遅れ」も指摘されています。

 先の県アドバイザー室崎氏は、朝日新聞のデジタル版や1月15日付紙面などで、こう述べています。

~自戒の念も込めて、今誰かが声をあげなければと考えた。

~多くの大震災では、発災から2、3日後までに自衛隊が温かい食事やお風呂を被災者に提供してきたが今回は遅れた。

~本来は「想定外」を念頭に、迅速に自衛隊、警察、消防を大量に投入すべきでした。~水や食料、物資の避難所への搬入が遅れたのは、半島で道路が寸断されるなどした地理的要因だけではなく、被災地で起きていることを把握するシステムが機能せず、国や県のトップがこの震災を過小評価してしまったためではないか。

~自衛隊、警察、消防の邪魔になるからと経験豊富なボランティアや研究者でも、駆けつけることをためらう空気が作られた。その結果、マンパワー不足と専門的なノウハウの欠如で後手後手(ごてごて)の対応が続いている。防災計画はきれいに描いてきた。でもマネジメントがうまくできていない。

 勇気ある発言だと私は受け止めました。知事はこの指摘をどう受け止めるか、考えをお聞かせください。

(3)創造的復興

 知事は「創造的復興」との言葉を使いますが、東日本大震災の復興では「オール地元」の体制で「なりわい」やコミュニティの再生など地域を重視した復興を目指した岩手県。

 それと対比して、宮城県を中心に財界主導の惨事便乗型の新自由主義的な「創造的復興」が大きな問題となりました。一般質問でも指摘しましたが、今後の復興にあたり、2004年10月の中越地震で、中山間地である山古志村の復興の経験が、大変参考になると考えます。ぜひ県の復興会議でもこの点からよく学ぶ機会をつくってほしいと要望いたします。

 この問題に詳しい、京都橘大学経済学部の岡田知弘教授は、3月1日付の日本農業新聞で「山古志村(現長岡市)では、震災後に7割の住民が集落に戻った。一時は住民全員が地区外に避難したが、仮設住宅に移る際、集落単位でコミュニティーをつくれるように配置。仮設所内に集会所を設け、集落の未来について毎晩議論した。模造紙に集落の地図を書き、どこに何を建てるか、住民全体で話し合った。住民主導の復興計画が集落を再建に導いた」と指摘しています。

 この点で、集落のコミュニティを維持しながらの仮設住宅の建設・入居、集落機能の維持について、市町とともにどんな方針ですすめようとしているのか、県の所見をお聞きします。

 能登地域は集合住宅の経験がない方が多数であり、加えて住宅を建てることをためらう高齢者も多いことから、今後公営住宅として活用できることを展望して、どれだけの公営住宅をつくればいいか、計算として出てくる、とも言われています。仮設住宅入居の申し込みは約7900世帯とのことでしたが、「入居完了後は市町営住宅に転用することを」基本とする熊本モデル、石川モデルはどの程度必要と見込んでいるのか、今後の建設の考え方もお答え願います。

 私は、珠洲市の孤立集落から避難してきた方が、「地図から住んでいた集落は消えてしまうかもしれない」との言葉を忘れることができません。

 岡田氏は、「市町の担当者が避難した住民と密に連絡を取り、被災者の近況と意向を把握する必要がある。自治体が意向調査を重ねれば要望や問題が浮き彫りになり、次に何をすべきかが見えてくる。結論は急がなくていい。住民から出てきた要望を尊重しながら復興計画を立てることが大事だ。結論より過程を大切にしてほしい」と指摘しています。

 たいへん大事な視点であり、県や国のサポートも必要です。

 この山古志の復興は、この間国が進めているコンパクトシティーの発想とは対極にあると声を大にして強調し、次の質問に移ります。

(4)大阪万博問題

 大阪万博に関し、「知事はやる必要がある認識には変わりない。同時に、身の丈に合った万博にすべきだ」と述べています。

 しかし、大阪万博は「カジノのための万博」と言われ、限られた資源を半年でつぶすパビリオンなどに費やすことに疑問の声が広がっており、万博に建設資材、重機、マンパワー、そして巨額の税金を使っている時か、能登半島地震の復旧・復興こそ最優先でという声が広がるのは当然と考えませんか。知事の認識を伺います。

(5)知事の裏金問題

 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープに端を発した自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題に、国民の深い批判と怒りが沸き起こっています。裏金を受け取っていたのは、石川1区選出の小森卓男衆議院議員、2区佐々木はじめ衆議院議員、前閣僚の岡田直樹参議院議員、自民党県連会長の宮本周司参議院議員と県選出自民党国会議員5人のうち4人が名を連ねています。そして、馳知事自らも、衆議院議員時代に裏金をもらっていたことが明らかになりました。 

 この問題は「民主政治の健全な発達」を妨害する組織的犯罪行為であり、全容解明にふたをしたまままでの「政治刷新」を言っても何の意味もありません。金権腐敗政治の根本にある、企業・団体献金禁止、政党助成金廃止が求められます。

 知事にはそういう認識と反省があるでしょうか、お聞きします。

 知事自ら全容を明らかにし、受け取った裏金を返納してこそ、県民からの信頼を得ることにつながるのではないでしょうか。知事の今後の対応ついて、明快な答弁を求めます。

▲ このページの先頭にもどる

© 2002 - 2024 Japanese Communist Party, ISHIKAWA