県政・県議会 - 委員会

予算委員会協議会 一問一答 後編を公開します

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◎佐藤正幸委員 次に、経済政策に関連して、ジャパンディスプレイの問題についてお聞きしておきたいと思います。知事は、景気の動向に左右されない骨太の経済政策というふうにおっしゃいましたけれども、今回のジャパンディスプレイーJDIの能美工場の閉鎖問題は、アベノミクスの中で国策メーカーといわれた大企業がまさに、経済の動向に左右されて閉鎖をするという事態になった、ここに私は問題の本質のひとつがあると思います。企業誘致そのものを私は否定するものではありませんし、ただ、大企業を呼び込むというにはやはりリスクがある。そこで、JDIの経済効果についてお尋ねしたいんですけれども、能美市、白山市、川北町には法人市民税、あるいは水道料使用料、固定資産税収入があるようですけれども、県にはこういう収入があるのかどうか。また、市町への税収については、県としては把握しているのかどうか、ここをお尋ねしておきたいと思います。

 

◎普赤清幸商工労働部長 ジャパンディスプレイの立地に伴います、県税収入としては法人県民税、法人事業税および、工場立地時に納めます不動産所得税などがあるわけでございますが、個別企業の税収につきましては、地方税法及び地方公務員法上の規定に基づきお答えすることができないことを御理解いただきたいと思います。

 

◎佐藤正幸委員 税額についてはそうだけれども、税収はあるという理解でいいのかというふうに思いますが、そこだけ確認でよろしくお願いいたします。

 

◎普赤清幸商工労働部長 金額は申し上げられませんが、それぞれに税収がございます。

 

◎佐藤正幸委員 やはり雇用もそうですけれども、経済的にも大きな影響があるのではないかと、報道でも既に市町への税収についての報道が一部ありました。やはり、もはやこうなってきますと、一民間企業という問題ではすまされない、やはり、県の責任が、雇用の問題でも、地域経済の問題でも問われているということを私は指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に農業問題についてお尋ねしたいとも思うんですが、今度の補正予算においても、知事は農林水産分野でも大企業との連携には非常に熱心ですけれども、能登の里山里海やコミュニティと文化を守ってきた家族経営を支援する姿勢は極めて弱いといわなければなりません。例えば、農林業センサスというデータがありますが、これによれば、平成7年、農家数は約4万1,849戸あったものが、直近の平成27年には2万1,087戸と、4万戸から2万戸へ、ほぼ半減しております。今、県政の検証ということで、「石川100の指標」私も持ってきましたけれど、これを使って何か検証をするとの動きもあるようですけれども、みてみますと平成6年における農業就業者1人当たりの農業生産額は、全国平均を下まわり16位、それが谷本知事になってからの平成16年には35位と後退しています。平成17年からは人口当たりの農業産出額となったようですけれども、これも35位から36位と横ばいになっております。これは、北陸3県で最低であります。これはもちろん、自民党農政のそのものの失敗であり、それに追随してきた県の姿勢の反映でもあって、やはり農業の後退が能登からの人口流出の大きな要因となったことは私は否めないというふうに思います。特に来年から50年近く続けられてきた米の生産調整が廃止される。そして生産費を補填するために行われていた、10アール当たり7,500円の経営安定対策交付金も廃止されます。「来年からは何をどれだけつくったらいいのか」「転作への支援はどうなっているのか」そして、「米価はどうなるのか」「コンバインの支払いができない」というような声が寄せられてきております。そこで、これも新潟では今年度から営農条件が不利な中山間地などで、ほかの産業並みに所得が確保されるように10アールあたり1万5,000円を上限に支給する県独自の施策が実行されているようです。そこで、県においては新潟県のような所得補償の仕組みをつくって家族農業を応援して、そして農業で定住を促進する。こういう思い切った施策をとるべきではないかと私は思うのですが、見解をお聞きしておきたいと思います。

 

◎表正人農林水産部長 委員がお尋ねになられました、新潟県における公的サポートモデル事業、これは中山間地域の中でも特に急傾斜農地の割合が高く、積雪量が多いなど、特に自然・社会条件が厳しい地域におきまして、経営規模の拡大や経営の多角化など、地域農場の維持活性化を図る取り組みに対し、3つの集落をモデルとして3年間助成するものでありまして、委員が御指摘になられるような所得補償制度とは趣旨が異なるものだと承知しております。県ではこれまでも、意欲ある農業者に対しまして、農産物の生産拡大や品質向上のための技術指導、販路拡大に向けたブランド化の推進など積極的に支援しているところでありまして、今後とも市町、関係団体と連携しまして地域の実情の応じた施策を実施していきたいと、このように考えております。

 

◎佐藤正幸委員 積極的に支援をしてきたとおっしゃいますけれども、しかし私はこの3月の予算委員会での知事の答弁が非常に印象に残りました。若干紹介しますけど、「宝達志水町以北の能登の人口は昭和25年以来減り続けている。交流基盤を整備するということはもろ刃のやいばの両面があるが、能登と金沢の時間距離を短縮することが能登への交流人口の拡大にもつながり、ひいては能登の活性化にもつながるのではないか、こんな思いでやってきた」というふうにおっしゃったと思いますが、しかし実態は今の状況のとおりであります。やはり能登の活性化のためには、従来どおりの県政運営ではおのずと限界があるのではないかと、私は言わざるを得ません。わが党は家族農業を思い切って支援して、能登への定住の促進と、あるいは原発依存から抜け出して、廃炉作業で雇用はつなげますし、あるは再生可能エネルギーを本格的に普及することによって、能登鋪面に新たな産業と新たな雇用をつくるということが必要ではないかと提案をしてきました。ここは知事にお答え願いたいんですけれども、やはり能登の活性化のためにはこの農業政策をおおもとから見直す必要があるんではないかと私は思いますけれども、知事の思いをお聞かせ願いたいと思います。

 

◎谷本正憲知事 能登地域におきまして、農業は観光と並ぶ主力産業であります。農業の振興が能登地域の振興にとって大変重要ではありますけれども、生産条件が厳しいことに加え、過疎・高齢化の進行により、担い手不足が深刻化しております。このため、生産基盤の整備を進めつつ、全国で初めてとなる農業参入支援ファンドを活用し、県内外の企業や農業法人による新規参入や規模拡大を促進をしておるところでございます。この結果、能登ンお里山里海が世界農業遺産に認定されて以降、能登地域に進出をした企業、農業法人は27社ということになりまして、担い手不足による耕作放棄地の増加に歯止めがかかる明るい兆しも見えてきたところであります。また、委員御指摘の家族農業については、意欲ある農業者に支援をしているところでありまして、平成21年度から奥能登地域の特色ある農産物や金沢中央卸売市場へ届ける奥能登直行便にとり国、少量でも出荷できることから、生産者はスタート時点の16人から昨年度は275人、販売額は初年度の約1,000万円から4,900万円と大幅に増加したところでもございます。消費者からは「奥能登の珍しい野菜や山菜など、旬の農産物を味わえる機会が増えた」生産者からは「直売所のように売れ残りの心配がなく、生産意欲の喚起につながる」など高い評価をいただいておりまして、こうした状況を受けて10月下旬からは新たに中能登地域においても直行便の運行を開始する予定としているわけであります。また、平成15年度に5軒でスタートして農家民宿群春蘭の里は民宿数が昨年度47軒に拡大し、里山の魅力を地域で一体的に提供することにより年間1万2,000人を超える来訪者を迎えるまで成長しておるわけであります。こうした集落を挙げた取り組みの成功事例が他の地域にも波及し、第2、第3の春蘭の里を目指す新たな動きも芽生えているところでもございます。今後ともこうした取り組みを通じて、能登の基幹産業である農業の活性化を図ってまいりたいこういう考えであります。

 

◎佐藤正幸委員 残念ながら転換するおつもりがないようでございますけれども、私は規模拡大とか企業参入そのものを否定するものではありません。しかし農業を続けていくことで、生計を成り立たせることができる、そういう思い切った対策をとるべきだということを最後に指摘して、時間きましたので、質問を終わりたいと思います。

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