日本共産党は、第七号に反対、その理由を述べると同時に、第八号ないし十号の賛成討論を行います。
第七号家庭教育支援法の制定については、六月十四日、いしかわ県民教育文化センターなど市民団体が意見書案の撤回や反対を求めて各会派への要請行動を行い、都合のいいあるべき家庭教育、家族像を押しつけ、個人を抑圧する懸念があると指摘をしています。意見書案は、「家庭に教育の基盤をしっかり築くことがあらゆる教育につながる」とし、「社会全体として家庭教育を支え合う仕組みが必要」としていますが、そうであるならなぜそれぞれの家庭が安心して子育てできるような社会的環境を整備する政治の責任に触れようとしないのでしょうか。親がどんなに我が子のことを思ってもそうできない現実があるではありませんか。子供の貧困率が一六%に見られるように子供の健康も教育も収入次第。ワンオペ育児と呼ばれる母親の子育ての負担や不安の背景には世界に例のない長時間労働があり、北欧のように夕方から家族の時間という働き方ができればどんなに助かるかわかりません。高学費の壁も子供の未来に立ちはだかっています。こうした環境整備には目を向けず、殊さら親教育の問題にすりかえ、家庭教育支援法案を成立させようとしているのは二〇一二年四月に安倍晋三氏が会長となり発足させた親学推進議員連盟であり、この親学なるものは家庭生活のあるべき姿を具体的に提唱、議連が伝統的な子育てで発達障害を予防できるという内容の勉強会を開くなど、科学的には何ら根拠のない理論を展開していることを指摘しなくてはなりません。
家庭教育支援法は、憲法二十四条にある家庭の中の男女平等や個人の尊厳を否定するものと指摘をされています。家庭教育の支援というならば、さまざまなニーズを持つ子供を中心に置いて、子供固有の人間としての尊厳を前提として子供の成長発達権に応えるという観点から議論されなくてはなりません。家庭教育支援法は、支援の名をかりて国が規範意識や公共心、愛国心といった一定の価値観を望ましいものと設定して、家庭教育を利用して子供に無批判に押しつけて子供を支配することを可能にするものでもあります。この意見書案の撤回を求めるものであります。
次に、八号ないし十号の賛成討論を行います。
八号エネルギー政策の転換を求める意見書については、国会の審議の中で政府の第五次エネルギー基本計画案が掲げる二〇三〇年の原発の電源構成比率を二〇%から二二%に達成するには、柏崎刈羽原発を含む全ての原発の再稼働と運転延長を前提としていることが明らかとなりました。福島原発事故後二%まで低下している原発比率を十倍以上にする再稼働推進計画とも言えるエネルギー政策の転換へ各位の賛同を求めるものであります。
第十号労働時間の規制を求める意見書について。一日八時間労働という労働時間の規制を全面除外する高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識等を必要としているだけで何の限定もなく、年収要件も平均年収の三倍以上とされていますが、容易に対象者を拡大できることが国会の審議でも明らかになりました。参議院厚生労働委員会の地方公聴会では、経営者の公述人が「該当する社員もいないし、社員が望むことも全くない」と述べ、連合埼玉の事務局長も「長時間労働を助長する」と述べました。今求められていることは、労働時間の規制であります。
第九号国民健康保険における子供に係る均等割額の軽減等については、全国知事会としての要望でもあり、先取りして加賀市が予算に盛り込んだものでもあります。あわせて各位の賛同を求めるものであります。
最後に、第三号については県議会に寄せられた県精神障害者家族会連合会の陳情六十号にあるとおり、国連障害者権利条約の締結国としての取り組みが求められます。
第四号についても、情報流出問題の背景には年金機構の業務外部委託の問題があることを指摘して、討論を終わるものであります。
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