県政・県議会 - 定例会

第1回定例会(3/2) 一般質問質疑内容を公開します

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日本共産党を代表して質問します。

【1】知事の政治姿勢に関わって~共謀罪に関する知事の認識

 今開かれている通常国会の論戦でも、安倍内閣が「究極の『モラルハザード』(倫理喪失)政権」であることがより鮮明となりました。政府が「廃棄した」と説明していた、南スーダンPKОに派遣されている陸上自衛隊の「日報」の存在が明らかになり、昨年7月首都ジェバで発生した「戦闘」の実態が生々しく記されてありました。憲法9条を踏みにじる派兵を隠蔽(いんぺい)する大問題です。そして「共謀罪」法案の国会審議に関し、「国会提出後、議論を重ねていくべきだ」とする文書を法務大臣が作成するという、三権分立の否定まで起こっています。そこで、知事にお聞きしたいことがあります。政府は「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)を批准するために、共謀罪が必要、といいますが、TОC条約の対象は、「金銭的利益その他の物質的な利益を直接、間接的に得る」ことを目的とする集団であり、テロ組織は対象となっていないことが国会論戦で明らかになりました。この点もふまえ、犯罪を行ったという事実によって処罰する刑法の原則に反するからこそ、国会で3度廃案になった共謀罪について、知事の見解をお伺いしておきます。 総務省の「統計でみる都道府県のすがた」で明らかになっている、土木費1位、民生費38位、教育費37位というわが県の財政構造をこのまま温存していいのか、予算の組み替えを求める立場から以下質問します。

【2】新幹線に関わって

 知事は、新幹線「開業効果をさらに引き出し、県下全域に波及させ」と言いますが、この際お聞きしたいのは、この間の、のと鉄道の一部廃線です。新幹線開業後、JR七尾線の観光列車「花嫁のれん号」、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」が運行されていますが、のと鉄道穴水―輪島間、穴水―蛸島間を残し、観光列車を運行させるなどすれば、さらなる誘客と地域経済の活性化ができたはずです。穴水―輪島間、穴水―蛸島間の廃止はすべきではなかったのではないでしょうか、再建へと国とJRに支援を求めることを含め、知事の見解をお聞かせください。この間の公共投資の「選択と集中」、行財政改革の名による出先機関の廃止などは、結果として能登の切り捨てになっているといわざるを得ません。 一方で、金沢市はどうでしょうか。2月16日、「金沢市新しい交通システム検討委員会」が市長に対し、「金沢港―金沢駅―香林坊―野町駅の都心軸」に、地上走行を基本とした、バス高速輸送システム=BRT及び次世代型路面電車システム=LRTの導入が望ましい、とする提言をだしました。これは、LRTの場合、金沢市独自に少なくとも約180億円を負担せざるを得ないなど、財政負担の面でも、安全性・採算性の面でも不安が残るものです。なにより、もっとバスの利便性をよくしてほしいという、市民の願いとは食い違っていると考えますが、知事の思いをお聞かせください。提案された予算の、新幹線敦賀延伸分の負担金は156億円と、今後貸付料が見込めるとはいえ、一般会計5321億円の約3%と突出したものとなりました。今でも、金沢~富山県境間の並行在来線の、軌道関係だけで4億円の維持管理費、今後福井県境までの維持管理、運賃などの面でも高いハードルがあると考えます。このまま延伸、在来線分離を急いでいいのか、JRと国に社会的責任を果たすよう求めて、次の質問に移ります。

【3】県内経済の疲弊への認識と対策

 県は「本県経済は各種経済指標が高水準で推移するなど景気回復が進んでいる。県内経済に安定感がある」といいますが、日本経済の全体の動向を見据えた、冷静な評価と対応が必要と考えます。事実、「必要なものにお金がかかりすぎて、節約に疲れました。我慢の毎日です」との子育て世代の悲鳴のように、県民生活の実感は景気回復とはおよそ無縁です。北國銀行が昨年2016年12月に発行した、「景気動向調査180号」では、「採算圏内企業の割合は86.8%と前回調査から4.9ポイント上昇」とするものの、「木材・木製品製造業66.7%、建設・輸送機械68.8%などの業種では厳しい見方となっている」としています。これを県としてどうみているのか、見解をお聞きします。有効求人倍率の上昇についても、国内全体の、正規を含めた産業別の求人は、「医療・福祉」が3割を占めて最も多く、「卸・小売」、「宿泊・飲食」などを入れると全体の4分の3を占め、これらは建設業・製造業などと比べると相対的に離職率の高い分野です。すなわち、雇用してもやめてしまう人が多いため、繰り返して求人が出され、それが求人倍率を引き上げている、との指摘を受け止める必要があります。これらの分野での離職率の高さの背景には、低賃金で労働条件が悪いという問題があり、雇用が増えれば家計が安定して消費も増えるはずなのに、実際にそうなっていないのは。「雇用の質」にも原因があると考えられます。総務省の2016年の家計調査によれば、1昨年9月以降、事実上1年4か月にわたって消費が落ち込み、食費の占める割合を示す「エンゲル係数」は、安倍政権になって2013年から16年まで4年連続上昇、歴史的にみても1980年代以降約30年ぶりの高水準。総務省の2016年の平均の労働力調査でも、役員を除く雇用者に占める非正規労働が調査開始以降過去最高の37.5%…これが日本経済の実態です。国民の暮らしからゆとりを奪い、中小零細企業を疲弊させた「アベノミクス」なる経済政策の転換を国に求めるべきではないでしょうか。知事の認識を問うものです。日本共産党は、「能力に応じて負担する、公平・公正な税制」、「社会保障、若者、子育て中心の予算」、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」など4つの経済民主主義の改革の対案をかかげ、全力をあげる決意を表明し、次の質問に移ります。

【4】働き方のチェンジ、働き方改革…医労連要求もふまえ

 安倍政権が「働き方改革」として成立させようとしている「高度プロフェッショナル制度」は、まさに残業代ゼロ法案であり、政府の「働き方改革実現会議」で、残業時間規制の上限を「年間720時間」などとする案を出したことは、残業の限度を週15時間、月45時間、年間360時間と定めた1998年の大臣告示の2倍もの残業を許容するものであり、容認できるものではありません。以下、人間らしく働けるルールの徹底、確立を求める立場からお聞きします。知事部局においては、労働基準法第33条にもとづき36協定の適用外、またパソコンによる労働時間把握を行っているとのことでした。では、第37条にもとづく時間外、休日及び深夜労働に関する割増賃金はどのようになっていますか、お聞かせください。 また、第33条の対象外である県立中央病院では、労働時間の把握をどんな形で行っているのですか、36協定はどういう内容になっていますか、お尋ねします。以前の厚労省の「4.6通達」では、自己申告された時間が実際と合致しているか、必要に応じて実態を調査するなど、労働時間について適正な管理を企業側に義務付けていますが、これは、知事部局、県立中央病院、教員分野ではどう徹底されているのでしょうか。見解をお聞きします。厚労省の昨年12月26日付「過労死ゼロ」緊急対策では、「使用者の明示または黙示の指示により自己啓発の学習や研修受講をしていた時間」は労働時間として取り扱わねばならないとされ、この対策にもとづく本年1月20日付のガイドラインでは、制服や作業着に着替える時間、業務終了後の清掃、待機時間なども労働時間に含めるとされました。この内容を、知事部局、県立中央病院、教員分野でどう徹底、具体化するのか、見解をお尋ねします。 教職員の多忙化などの解決のためには、正規職員の採用を思い切って増やすべきにもかかわらず、教員数を減らす条例が提案されたのは問題です。県独自の予算措置で教員を増やすことが求められています。非正規の教員が増えた原因のひとつは、教員任用に関わる国庫負担金を、非常勤講師に換算する「定数くずし」があります。県内の「定数くずしの」は、現状ではどうなっているのですか。換算しない場合、正規教員はどれだけ増えるのでしょうか。日本共産党は、教員給与の国の負担率を、減らされた3分の1から2分の1へと元へ戻し、教員増のために全力をつくす決意を述べ、次の質問に移ります。

【5】くらし応援

 来年度政府予算は、社会保障「自然増」を1,400億円削減するもとで、今ほど「住民の福祉の増進」という本来の自治体の役割発揮が求められているときはありません。子どもの貧困が社会問題になるなか、学校給食の無償化の流れが広がり、「しんぶん赤旗」の調査によれば、少なくとも55市町村が全額補助、一部補助が362自治体にのぼります。そこで県内では、なんからかの形で学校給食への補助を行っている自治体はありますか。県の支援策も講じるべきではありませんか、見解をお聞きします。政府来年度予算では、保育士の処遇改善のため、約500億円の予算をつけ、国が2分の1、自治体が2分の1の負担の地方交付税措置となりました。内容は、民間保育所に勤務する全職員に対して月額約6千円程度の処遇改善や、キャリアップ制度の導入で経験年数などに応じた処遇改善も行われるとのことです。今回の処遇改善は、具体的にどのような手続きを経て行われるのか、どの程度の改善につながるのか、お聞きします。介護職員の処遇改善も、同じく地方交付税措置として全国289億円の予算となりました。この介護報酬の加算による処遇改善は、2015年度から始まったものの、2016年2月発表の全労連の調査では、賃金が増えた職員は26.2%にとどまっています。今回の予算措置は、月額月1万円相当とのことですが、どのような手続きで処遇改善がなされるのか、どの程度の処遇改善につながるのか、見解をお聞きします。 あわせて、介護職員数については、昨年12月の私の予算委員会質疑への答弁で、平成27年度は1万8,200人程度で、3か年で約2,100人増とのことでしたが、現場からは、職員が増えたとの実感は持てない、との声があいついでいます。今一度、この国の調査にもとづく推計とは、どんな推計なのか、約1万8千人という介護職員の雇用形態の内訳はどんなものなのか、お聞かせください。国保都道府県化の具体化として、今議会に運営協議会設置条例が提案され、今後国保運営方針を定めることになりますが、県民の実態や市町の努力がきちんと反映されるようにすることが必要です。無保険の子どもをなくすべく、2009年に国保法が改正されたにもかかわらず、金沢市内で子どもの保険証が留め置きとなる事態が起こりました。2人の子どもをもつご夫婦は、生活苦のなか国保料の滞納が60万円。子どもが咳と鼻水の症状が出て嘔吐もしたため、受診させようと保険証を受け取りに市役所にでかけたものの、「30万円を払い、今後の滞納の納付を誓約しないと保険証は渡せない」と言われ、保険証をもらえないまま帰宅。保険証は家族4人分留め置かれ、未交付の状態となりました。その後10日間、子どもを病院に連れ行けず、ようやく受診した際に、気管支炎と診断されましたが、医師から「悪化していたらどうなっていたのか」とのことでした。こうした問題に、今後県としての対応が問われます。今後県として、いかなる理由があっても、子どもの保険証の留め置きは絶対にしない、納付の相談は保険証を渡してから、との方針を明確に規定すべきです。見解をお伺いします。そもそも、短期保険証や資格証明書の発行はすべきではありません。ここを明快にした運営方針をつくるべきです。あわせて答弁を求めます。わが党は、国庫負担増額、県による独自財源の投入などで国保料の高騰を抑え、「必要な人がきちんと医療を受けられる」国保となるよう全力をあげるものです。

【6】大規模災害に強いまちづくり

 金沢市などを通る、「森本・富樫断層」による地震発生確率が最も高い「Sランク」とされたことに関し、被害者を一人も出さない構えでの未然防止策の徹底、それにふさわしい思い切った予算措置を、県政運営の柱に据えることを求める立場から質問します。まず、来年度の国の予算である「公共施設等適正管理推進事業費」にある、「長寿命化事業」は、本予算ではどの程度活用されているのですか。耐震化には資するものなのですか、答弁を求めます。住宅の耐震化について、関係市町まかせにするのか、県としての支援を抜本的に強めて、住宅の倒壊による被害をかぎりなくゼロにするのか、が問われています。金沢市が平成28年3月に改定した「建築物耐震改修促進計画」によれば、平成27年3月現在、木造住宅3万戸、非木造住宅約3千戸が耐震化されておらず、目標である5年後の平成32年度末の耐震化90%へむけて、8千戸を超える改修、建て替えの促進をうたっています、被害想定でも、建築物のうち約1割が大破し、約2割が中破以上の被害を受けるとされ、中破以上の被害率が4割を超えるのが3校下、30%以上が9校下にのぼります。市の計画では「さらなる診断費用等の負担軽減により、所有者等に耐震化を働きかけていきます。また、改修費用の捻出が困難な高齢者世帯などを配慮し、補助制度の弾力的な運用を行っていきます」ともありますが、これらは、建築基準法改正前の住宅に限ってであり、震度7を超える揺れが2回起こった熊本地震を想定すれば、耐震化が必要な住宅はさらに増えるでしょう。住民への耐震対策に関する必要性の啓発と普及はもちろん、さらに一歩踏みこんだ対応、具体的には地元中小零細企業への仕事おこし、地域循環経済の形成にも資する展望をもった対応が必要です。熊本地震も踏まえ、今後、建築基準法改正後の住宅への補助をはじめ、県として住宅耐震化促進の意気込みをお聞かせ下さい。 上下水道、ガスなどのライフラインの確保も必要です。関係市町の、水道管の老朽化・耐震化対策の現状はどうなっていますか。県水単価の引き下げなども含め、県としての支援が必要ではありませんか。見解をお尋ねします。県の「橋梁長寿命化計画」は耐震化を考慮しておらず、策定した「公共施設等総合管理計画」にもとづく耐震化を着実にすすめようとするなら、今後の公共事業のありかたの抜本的検討が必要であることを強調し、次の質問に移ります。

【7】農業問題

 農業振興の基本姿勢についておたずねします。提案された予算のベースとなる「いしかわの農と農業・農村ビジョン2016」による将来のわが県の姿は、大企業の参入と農地の大規模化であり、地域のコミュニティや文化などを支えてきた家族農業は今以上に衰退する…わが県の食糧生産がこれで担えるのか、県土や環境を守ることができるのかが問われています。食糧自給率の向上や県土や環境の保全など、農業のもつ多面的な役割は、一部の大規模経営や法人だけで担うことはできません。兼業・高齢者世帯を含む多くの農家が農村に定住し、営農を続けてこそ可能になります。今頑張っている家族農業をはじめとしたすべての担い手への支援、具体的にはコメの価格保障、後継者・新規就農者の育成へ、国へ強い要望を出すと同時に、県としても思い切った予算措置を行うことが必要ではありませんか、知事の政治姿勢をお聞きし最後の質問に移ります。

【8】輪島産廃処分場住民投票に関わって

 輪島市における産廃処分場建設をめぐる住民投票は、2月19日に投票が行われ、市条例の定める投票率50%に届かず、不成立という結果になりました。反対派の発議による住民投票だから、投票に行くのは反対が多いなどと、根拠のない宣伝を行い、「賛成の人は投票に行かないのも選択肢」として、投票に行くことは反対と同じという無言の圧力がかかり、自由な投票行動を委縮させるという、およそ住民自治とはかけ離れた状況となりました。それぞれの主張を、自由な環境のなかで表明し、おおいに議論もして、より多くの人に投票にでかけるよう呼びかけるのが、本来の在り方ではないでしょうか。こうした状況のもとで行われた住民投票であるという認識が知事にはありますか、見解を求めます。2007年の市の処分場建設検討委員会の答申は「委員長の独断」などと偽りの宣伝もあったなか、圧力をはねのけて42%にあたる1万338人の住民が投票にでかけたことは重い意味があります。こうした経緯をふまえ、安全性はもとより、分断と対立でなく、住民合意を重視して判断する知事の姿勢が求められることを強調し、すべての質問を終わります。

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