県政・県議会 - 定例会

第2回定例会 一般質問 質疑全文を公開します

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 日本共産党を代表して質問いたします。まず初めに、知事の政治姿勢についてお聞きをいたします。

【1】共謀罪・総理の改憲発言に関する知事の認識

 さきの通常国会で中間報告による審議の一方的打ち切りという乱暴極まる方法で、いわゆる共謀罪法が成立させられました。「戦前の治安維持法は適法だった」とする法務大臣の発言も重大であります。 国会審議を通じて2つのウソが明らかになりました。ひとつは、政府は「国際組織犯罪条約の批准のため」と言いますが、この条約はテロ対策の条約ではないこと。ふたつは、一般人は対象とならないということもウソであり、「環境保護団体などを隠れみのとした場合は処罰されることがあり得る」との答弁がありました。何をしたら罪に問われるか。この犯罪の構成要件も曖昧で捜査機関の一存で幾らでも広げることができるこの共謀罪は、思想や内心の自由を絶対に侵してはならないと定めた憲法違反の法律という認識があるでしょうか。国会での乱暴なやり方の見解も含め、知事の答弁を求めるものであります。 安倍首相は「5月3日の憲法記念日に憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行う。2020年に施行する」と宣言しました。現職の首相が期限まで区切り、具体的な改憲案を提示するのはかつてないことであり、憲法擁護義務を持つ知事としての認識をお伺いするものであります。 その内容も、存在する自衛隊を単に憲法上追認するだけにとどまらない重大な問題を含んでいます。戦後、自民党政府は「自衛隊は憲法9条2項にある戦力ではない。だから海外派兵や集団的自衛権の行使、武力行使を目的にした国連軍の参加はできない」と説明してきました。首相が言うように9条3項を設けて自衛隊を明記したらどうなるでしょうか。後法は前法に優越するという一般原則により、3項によって上書きされた2項の戦力不保持の規定が死文化され、無制限での海外での武力行使に道を開くことになります。知事にはそういう認識があるのでしょうか。明確な答弁を求めるものであります。 日本共産党は安倍政権のもとでの憲法9条改悪阻止など、6月8日の野党党首会談の合意に基づき、変えるべきは憲法に基づかない政治、この立場で全力を挙げる決意を表明し、次の質問に移ります。

【2】くらし応援(1)国保都道府県化について

 総務省が5月30日に発表した4月の家計調査によると、2人以上の一世帯当たりの消費支出は29万5,929円、物価変動の影響を除いた実質で昨年同月比1.4%減少しました。2016年2月のうるう年効果を除くと、マイナスは1年8か月連続、賃金の伸び悩みや社会保障の負担増で消費の低迷が長期化しているのです。ここに目を向けた県政への転換が必要であり、来年春の県知事選挙も展望し、以下、安倍政権のくらし破壊の大暴走から県民の暮らしを守る防波堤の役割を果せたとの立場からいくつかお聞きいたします。 まず来年4月の国保都道府県化に関してお聞きをいたします。 昨年秋からことし初めにかけて各都道府県は市町ごとの納付金。標準保険料の保険料率の試算を2回行い、北海道、埼玉、三重、滋賀、大阪などが公表しましたが、現在の保険料が2.26倍あるいは、1.7倍となる自治体がでるなどの衝撃が走っています。県内でも強く聞かれる国民健康保険料が上がるのではないかとの不安に応え、地域の住民、医療関係者の意見を反映されるためにも今後開かれる国保運営協議会は公開とし、傍聴ができるようにすること、資料の事前公開、会議内容をその都度県民に説明し、意見を求める公聴会等の開催、パブリックコメントを行うことなどを求めます。所見をお伺いいたします。 平成28年度版の石川の国保と介護によれば、平成27年度の一般加入者一人当たりの医療費は宝達志水町の48万4千円から、珠洲市の33万9千円と15万円近い差があります。保険料の収納率でも珠洲市の97.9%と金沢市の90.8%まで8%差があります。今でさえこれだけ市町ごとに差のある国保を、国の国保運営方針策定要領にある標準的な住民負担の見える化とか、赤字解消などを強調して県が標準保険料率などを示せばどうなるでしょうか。いくら国や県が「保険料は市町の判断で決まる」といっても、保険料や収納率は高いほうに合わせる、医療費は低いほうに合わせる、こういう圧力にならざるを得ません。 すでに県は今年までの財政安定化支援方針で目標収納率を設定し、収納対策としての滞納整理機構いを設置し、医療費の適正化などの取り組みを進めていますが、県民生活の実態を見ない収納率引き上げの強化、必要な医療まで奪うような医療費削減を進める助言、指導、支援はしないと明言できるでしょうか、見解を求めます。 2016年の県内の国保の実態を見れば、加入世帯約16万世帯のうち、約15%にあたる2万4千世帯が保険料を滞納せざるを得ず、滞納金額は約75億円。国保加入世帯は、高齢者、非正規雇用の労働者など、低収入の県民が多く、それゆえに保険料が高すぎで払えない、構造的な欠陥があります。その結果、無慈悲な保険料の徴収が後を絶たず、保険料滞納による短期保険証・資格証明書の発行で、必要な医療を受けることができないまま、受診時には手遅れで命を落とす事例も全国的に広く残されています。こうした問題の解決のために、知事会が「一兆円の国庫負担増」を求めたように、知事自ら国に出向き、社会保障制度としての国民皆保険を守るためにも、国庫負担増を直接求めるべきではありませんか、知事会副会長としての知事の決意をお聞きします。 あわせて、県としての財政支援が求められます。加入一世帯当たり年1万円引き下げのための財源は、加入16万世帯ですから年16億円。3月末に専決処分したという、2016年度の事業税増収分16億円をそのまま補てんすればできることではありませんか。今後、市町の国保会計への一般財源繰り入れは可能とする立場なら、県自ら規範を示すべきではないですか、知事の明快な答弁を求め、次の質問に移ります。

【3】くらし応援(2)介護保険について

 先の通常国会で介護保険の改悪法が成立し、利用料の3割負担導入、「我が事・丸ごと地域共生社会」の名による公的責任の大幅後退が懸念されます。すでに一昨年2015年4月から実施された改悪で、要介護1・2の方は特養ホーム入所対象外となり、「隠れ待機者」と言われる人たちを生むことになりました。県は、要介護1、2の人でも特例的に入所できるという、厚生労働省の「通知を徹底した、門前払いという事例は承知していない」といいますが、実際はどうでしょう。 金沢市内に住む自営業のAさんは、要介護2の認知症の母親と2人暮らし。母親は、2014年12月に要介護3と認定され、Aさんが自宅介護を続けていたものの、その限界を感じ、特養入所を希望しましたがかなわず、ショートスティ月約24日間の利用で、自宅の介護をしていたそうです。その後、2015年12月にAさん自身が大病で緊急手術。なんとか自宅介護はできるまで回復したものの、母親はその年の2015年11月の介護認定で認知症が進んでいたにも関わらず、要介護2に下がりました。先の改悪により、特養待機者からも外れ、ショートスティの利用も月約24日から約16日に減らさなくてはならなくなりました。Aさん自身大病を抱えながら、母親が自宅にいるときは、昼夜を問わず2時間おきに声をかけ、手を貸してトイレに誘導して介助します。Aさんの「『特養をついの住み家に』と思っていたのに。本当に困っている人を助ける介護保険にしてほしい」との声に、県としても真剣に耳を傾ける必要があります。 そこでお聞きします。県内の要介護1・2の方約2万2千人のうち、特養に入所希望されている方はどれくらいいますか。また、特例で入所ができた人はどれくらいおられますか。この4月から全市町ではじまった要支援1・2の総合事業では、全国的に先行モデル自治体で、「自立支援」と「卒業」の名によるサービスの打ち切り、基本チェックリストを使った水際作戦、地域ケア会議での申請・更新はねのけという事例が起こっています。県としての実態把握を求め、次の質問に移ります。

 【4】マイナンバー情報の漏洩を防ぐために

 昨年2016年1月からのマイナンバー制度実施にあたり、県内の市町でマイナンバー情報の流出が相次ぎ、報道されているだけでも10自治体にのぼります。野々市市では、平成29年度給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収額の決定通知書を、事業所に送ったところ、従業員以外の市民5人の書類が含まれていたとのことであり、個人情報の漏洩という人権侵害ともいえる事態を招いた責任は重大です、書留でなく普通郵便での送付という点でも、管理体制について点検・見直しというものの人間がやる作業という点でも、情報の漏洩をさけることはできない、この間税理士や事業所などからも指摘されていた、本質的な問題が明らかになったと考え、以下お聞きします。 県として、マイナンバーを記入した文書を、普通郵便などで通知している事例はありますか。また、問題が起こっていないとされる自治体にも、情報漏洩があるかどうか把握すべきではありませんか。通知書への個人番号の記入は、マイナンバー法19条に照らしても、義務規定ではないし、記載しなくても罰則・ペナルティもありません。この考え方を、市町に通知すべできではありませんか。この制度そのものの運用の中止こそ必要であることを強調し、次の質問に移ります。

【5】能登沖での日米共同訓練に関する県の認識

 北朝鮮は、国際社会の強い警告にも関わらず、弾道ミサイル発射を繰り返していることは、自らも加わっている6か国協議の共同声明や日朝平壌宣言にも違反するものであり、この地域を航行するわが県はじめとした船舶、航空機の安全にとっても重大な脅威です。この問題の解決は、5月22日の国連安保理声明にあるとおり、外交的解決しかなく、経済制裁の全面実施・強化が必要ですが、その目的は対話におかれなくてはならないと考えます。 この点で、昨日6月22日、知事が北朝鮮国民を「餓死させる」などと発言したことは、この問題に向き合う姿勢の面においても、表現の問題としても適切さを欠いたものと、言わざるを得ません。撤回を求めます。事前通告をしていませんが、緊急・重大な問題でもあり、知事の答弁を求めるものです。 日朝平壌宣言の当事者である日本は先の方向でイニシアチブを発揮すべきですが、実際はどうでしょう。6月1日と2日、能登半島沖の日本海で、アメリカ原子力空母であり、自衛とは無縁の米軍殴り込み部隊「空母打撃群」を搭載した「ロナルド・レーガン」などと、自衛隊が共同訓練を行い、小松基地からF15戦闘機が参加しています。これは、自衛隊がいうような「戦術技量の向上及び米海軍との連携強化をはかる」という一般論にとどまらない重大な問題です。 そこでお聞きします。県には、米空母との共同訓練が、日本海側で行われるのは異例という認識はありますか。また今回の訓練参加は、自衛隊側から事前の説明があったのしょうか、答弁を求めるものであります。 安倍首相は、自衛隊と米空母打撃群との共同演習を「高度な警戒監視体制」と公言したように、単なる訓練ではなく、自衛隊も一緒になって北朝鮮に軍事的圧力をかけていることに他ならず、「武力による威嚇」を禁じた憲法の平和原則にも反するものであり、そこに小松基地F15戦闘機が参加したことは、小松基地も戦闘の対象となりかねない極めて重大な問題です。県にはこういう認識がありますか。こういう訓練なるものに、自衛隊が参加したことへの抗議、少なくとも説明を求めるべきではありませんか。見解をお聞きします。

【6】種子法改悪による県内農業への影響について

 次に農政問題についてお聞ききします。先の通常国会で、主要農作物種子法を廃止する法律が可決させられました種子法のもとで、稲・麦・大豆などの原種の生産、奨励品種指定のための検査などを義務付けることにより、県と農業協同組合などが協力し、地域にあった優良銘柄を多く生産、安価に販売するなど、農民の生産・販売活動に大きな役割を果たしてきたのではないでしょうか。政府が、民間事業者が参入できにくいなどの理由で廃止したことに、農林水産省が5月17日に金沢市で行った説明会でも、品質の確保や安定供給を不安視し、「外資が参入して外国産が出回れば、地元の種子農家の経営が危ぶまれる」「種子の審査体制がどうなるのか」との声が相次いだと報じられました。そこでお聞きします。この間、種子法にもとづいて、県の農業試験場でどんな品種が開発・奨励され、県内農業にどういう役割を果たしてきたとお考えですか。県においては、国のいう民間企業の参入を阻害しているという立法事実はあるのですか、あわせて答弁を求めます。都道府県の取り組みの財源となる地方交付税の確保についての担保がないなど付帯決議の内容も不十分であり、国会での参考人が、圧倒的な資金や技術をもつ多国籍企業の利益を抑えるために、国が一定の関与をしなければ、本当の意味での自由な取引はできないと述べたことに真摯に耳を傾ける必要があります。こうした懸念もふまえ、種子法の廃止で県内にどんな影響があると考えますか。県内における種子農家の経営実態も含め、見解をお聞きします。主要食糧を安定的に供給するためにこれまで築き上げてきた制度、体制を弱め、コメ・麦などの優良種子の供給が不安定になり、必要なときに手に入らなくなってしまう恐れのある種子法の撤回を国に求めるべきではありませんか、答弁を求め、次の質問に移ります。

【7】輪島市における産廃処理施設建設について

 輪島市門前大釜における産業廃棄物最終処分場建設に関し、事業者が6月9日、環境影響評価書をまとめ、縦覧が行われています。事業者「門前クリーンパーク」のホームページでも、PDFデータとして公開されていますが、印刷制限がかかっていることもあって閲覧・検討に不便で、住民が意見を出しにくくなっています。なぜ印刷制限がかかっているのか、その根拠をお聞かせください。住民投票まで行われたという特殊性にかんがみ、積極的に県民の目にふれることができるよう、県として事業者に印刷制限の解除を求めるべきです。見解を求めます。 輪島市などによる「下水道接続は市民の安心につながるもの」との意見について、「下水道接続によって、どんな有害物質がどのようにして除去されるのか」科学的な根拠は、県も輪島市も示すことができず、「2重3重のチェックができる」との見解です。これは、「下水道接続はチェックをするだけで、有害物質を取り除くものではない」という理解でいいのですか、県の見解を伺います。 縦覧中の評価書に、知事意見がどう反映され、それは妥当なのか、県として検証する必要があるとの立場から、以下、見解をお聞きします。 知事意見にある、「地震災害に対する計画・設計の考え方が明記されていない」との指摘に、「本施設はレベル1・2に耐えられる構造とします」との表記があるだけで、どう耐えられる構造なのか記述がありません。活断層の評価も「半径10㎞以内の活断層は…2本の活断層が位置しているが、対象事業実施区域には活断層は記載されていな」いとするだけで、活断層によってどんな地震災害が発生し、どんな影響が処分場施設に起こるのか記述がありません。過小評価していると言わざるを得ませんが、どう考えますか。 市民から、建設予定地において極めて希少性の高いミゾゴイの渡来が確認されたことをふまえた要請が5月23日に行われましたが、評価書にはミゾゴイに対し、「事後調査を行う」というだけの姿勢でしかなく、これでは到底生物多様性を守ることはできません。少なくとも、県としての独自の実地調査を行い、ミゾゴイの棲息、繁殖状況を調査・確認すべきではありませんか。また、浸出水調整槽に関し、豪雨災害に耐えられる容量なのか、地震や地滑りに対応できるのか、との専門家からの疑義が輪島市議会で取り上げられています。県の「廃棄物適正処理指導要綱」によれば、今後知事による現地調査なども必要となり、産業廃棄物処理法にもとづく許可申請手続きが行われることになりますが、今後、知事意見がどう反映され、それが妥当なのかどうか、どんな場で検討されることになるのですか。「環境審議会 環境影響 評価部会」を開き、さらに「審議会運営要綱」第3条にもとづいて、かつて組織された輪島市産業廃棄物 最終処分場建設問題 検討委員会のメンバーなどを、「審議会の会議への出席を求め、その意見又は説明を聴く」べきではありませんか、見解を求め、私の質問を終わります。

 

*Wordデータ 一般質問 質疑全文*

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