県政・県議会 - 定例会

第4回定例会 一般質問質疑を公開します

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日本共産党を代表して質問します。総選挙後初めての県議会。総選挙の結果は、安倍政権への国民多数の信任を意味するものではありません。自民党は比例代表で得票率33%でありながら、61%の議席を得るという小選挙区制による「虚構の多数」であり、野党共闘への逆流と分断に加え、「森友・加計疑惑」についても一切語らず、憲法改定も封印するなど、徹底した争点隠しによる結果であります。来年3月の県知事選挙で、この自民党からの推薦を「心強い」とした谷本知事に対し、わが党は唯一の県政野党として、憲法9条を守る立場にたつ新しい知事を誕生させるため、県政転換の3つの対決軸を掲げて全力をあげます。以下、この対決軸にそって質問します。

 

対決軸の第1は、消費税増税・社会保障削減の安倍政権の暴走から、くらしを守る防波堤として、「住民の福祉の向上を基本」にした本来の地方自治体を取り戻すことです。私は知事の県議会への議案説明や答弁から、県民の暮らしの悲鳴の代弁、それにこたえようとする知事の言葉を聞いた記憶がありません。県は、日銀金沢支店の指標をもとに、「雇用・所得環境の着実な改善が続く」といいますが、それは一人あたりの名目賃金指数をもとにしたものであり、実質賃金を考慮していません。内閣府が11月15日に発表した、今年7月~9月期の国内総生産=GDPをみても、GDPの6割を占める個人消費は、実質で前期比0.5%減と、7四半期ぶりの落ち込みとなっており、消費が低迷しているというのが、県民の実感とも重なります。自民党県連知事選検討協議会が金沢大学に調査依頼した、「谷本県政の数値評価に係る基礎調査」でも、「県内総生産の成長に比べて県民所得はほとんど増えていない」、「総じて、経済活動は活発であるが、県民所得とくに労働者に還元される部分に課題がある」と指摘されているではありませんか。この指摘をどう受け止め、どう改善するおつもりか。しかと知事にお答え願います。

これは国民の所得が伸び悩んでいるうえに、消費税や社会保険料などの負担増が続いているためであり、アベノミクスの破たんの証明とともに、消費を立て直す抜本策が不可欠であることを示しています。安倍政権による2014年の「医療・介護総合法」、2015年の「医療保険改革法」によって、国保都道府県化、すでに策定された「石川県地域医療構想」と整合性を持たせるという医療適正化計画を含む「第7次石川県医療計画」、介護保険事業計画である「長寿社会プラン2018」と、相次ぐ計画の策定と実行が2018年度に集中します。そこに医療報酬・介護報酬のマイナス改定が一挙に実行されることになれば、今まで以上に、国いいなりでなく、くらしを守る防波堤となることが求められます。

まず、国民健康保険の都道府県化については、今議会に条例が提案されるとともに、11月30日の運営協議会で、市町ごとの納付金の仮算定結果が公表されました。国保運営方針(素案)に対するパブリックコメントを受けて、国保が「加入者の助け合い」という保険料負担を原則にするものでなく、国や都道府県、市町からの公費負担を原則に成り立つ「社会保障」の制度であることが明記されたことは重要と考えます。あらためて、国民健康保険制度が、戦前の「相互扶助」をのりこえ、国民皆保険を下支えする社会保障制度であることへの、知事の認識について、お伺いしします。

納付金の仮算定にあたって、「制度改革による負担増が一定割合超える市町に対しては、国の公費等による『激変緩和措置』を実施」とあり、この激変緩和措置が一時で終わるようなことがあってはなりません。国による財政支援の持続・拡大が求められます。納付金額があがる算定結果となった8市町について、県独自の法定外繰り入れを行い値上げを回避すること、市町に対して、国保料の値上げを回避するよう助言すべきではありませんか。見解を求めます。日本共産党は、県として国保料1世帯年1万円ひきさげ、その財源16億円の公費投入を実現するために全力をあげることを表明し、次の質問に移ります。

昨年11月に県が策定した「地域医療構想」について、2次医療圏ごとに具体化の議論が始まっています。そのなかで、「数百のベッド削減となれば、大病院がひとつなくなってしまうのと同じこと。大変驚いている」、「その病院にしかない、重度心身障害児向けの、長期慢性疾患向けのベッドがなくなってしまうのではないか」などの不安の声が広がっています。公立病院含め2次医療圏ごとに、それぞれの病院がそれぞれの特徴を生かして医療を支えているのに、地域医療構想によるベッド削減で、こうした医療提供体制がくずれてしまいかねなくなりかねません。こうした医療関係者や住民の不安にこたえ、各市町の議会にも情報を提供するためにも、2次医療圏ごとの地域医療構想に関する保健医療計画推進協議会やそれに関連する諸会議の開催状況、議事録を公開するよう求めます。見解をお聞きします。

厚生労働省は8月4日付の通達で、公的医療機関に対し、地域医療構想をふまえたベッド数などのプランを出すよう求めていますが、プランを公開することも求めます。所見を伺います。

お金がなくて病院に行くことができていないなど、潜在的な医療需要を考慮していないレセプトデータによる「地域医療計画」にそって、次期医療計画や医師・介護需給計画をつくることは、地域と現場のニーズにあわず、医師・看護師等の偏在・不足を固定化しかねない、と指摘されています。「いつでも、どこでも、必要な医療が受けられる」医療提供体制をつくるためにも、保健医療計画推進協議会には属さない、広範な関係者の意見を反映するよう求め、次の質問に移ります。

教育問題についてもお聞ききします。教育長にも、そして知事にも、これから紹介する教員の声をしかとお聞き願います。「朝の挨拶運動は、心のこもった挨拶は素敵だが、大勢でおはよう、おはようとやられると身のすくむ子どももいます」。また、「学力テストで上位をめざし、過去実施されたテストを繰り返しやることが当たり前になっていますが、そんななか『ママへ 頭悪くてごめんなさい。でも勉強きらいじゃないんだよ』、『休み時間も遊ばず漢字と計算ドリルしているのに結果が出ないんだ』と詩に書いた子がいる」「学力テストの過去問の際、『僕、頭が悪いのは十分よくわかった。だからテスト悪くていい?』と聞いてきた。」教育長、この教員の声を聞いて、行き過ぎた学力テスト対策の取り組みを改善する必要があると考えませんか。

いきすぎた学力テストは、子どもたちの健やかな成長のゆがみを生むとともに、教職員の長時間労働の要因のひとつともなっています。県内の教員の長時間労働の実態が明らかになるなかで、教育長も「教員定数の抜本的改善が不可欠」と繰り返し明言しています。そこでお聞きします。小学3・4年、中学1年で35人学級選択が100%に近くなるなかで、あらためて小学5・6年、中学2・3年でも35人学級を実現することが求められています。そのために必要な教員数はどれくらいですか、その教員を増やすための財源はどれくらい必要になりますか、お答え願います。

暮らし応援や子どもたちによりそった教育には不熱心な県政運営のゆがみは、「統計でみる都道府県のすがた」でも、谷本県政が始まってから、老人福祉費が全国5位から29位に下がり、土木費が25位から8位に上昇したことなどに、はっきりと示されています。一般会計における県債残高は、中西前知事が予算を組んだ1994年度決算で4,600億円だったのが、2016年度決算で1兆2千億円余、県民1人あたり100万円を超えた、とのことでした。この県債残高において、利子返済のために、昨年決算ではどれくらいの税金が使われたのでしょうか。利子を返済しても、新たな県債の発行で新たな利子が生まれているなか、県債の利子はここ数年増えているのか、減っているのか、あわせて答弁を求めます。

県自身の方針である、「標準財政規模に占める投資的経費を全国中位を目途に抑制」する立場にたつ新しい知事を誕生させるために、全力をつくすことを表明するものです。

 

対決軸の第2である、志賀原発の再稼働に反対、再生可能エネルギーの本格的普及と農業振興で、能登の人口減少に歯止めを、との角度から質問します。11月26日に、県の原子力防災訓練が行われ、私も視察しました。2016年2月県議会での予算委員会質疑での県の答弁は、避難に必要なバスの台数について「自家用車使用率が95%の場合は、即時避難が必要となる5キロ圏で10台、70%の場合は約60台、50%の場合は約100台」とシミュレーションし、「本県においても関係市町が住民へのアンケートを実施し、地域原子力防災協議会でバスの確保について検討していくことになる」と答えました。あれから1年9か月、アンケートの実施、協議会での検討状況はどうなっているでしょうか。また、避難のためのバス確保について、県外を含めたバス事業者と県や市町が、運行協定を結ぶ必要があると考えますが、いつ頃までに結ぶ見通しなのか、明らかにして下さい。また、「県の原子力防災のしおり」で、30キロ圏内の住民の避難先が、町会ごとに156施設用意され、総数14万6千人。避難先ごとでは、金沢市8万6千人、津幡町1万9千人、白山市と能登町でそれぞれ1万4千人、などとのことでした。昨年5月24日の県議会総務企画委員会で県の答弁は、「原子力災害では特有な対策が必要…受け入れ計画を具体的に定めているところはありません」が、内閣府で指針が示されたので、「関係市町と調整していきたい」とのことでした。あれから、1年7か月。平成28年3月に内閣府が示した「原子力災害発生時における避難者の受入れに係る指針」でも、「受入市町は、避難元市町村と協議を行い…対応や…役割分担について…あらかじめ具体的に取り決めておくことが必要」と明記されています。この取り決め状況がどうなっているか、お聞きします。これらの見通しが明らかでないままの再稼働はあり得ません。同時に、再稼働に固執するからこそ、こうした大規模な訓練をし続けなければならないのであり、こんな訓練をしなければならない原子力発電こそ、異質な存在、人類と共存できないものと言わなければなりません。志賀原発の即時廃炉の決断が求められています。この決断がないからこそ、再生可能エネルギーの本格的普及に本腰が入らないと指摘をしてきましたが、事実、来年度予算編成方針には再生可能エネルギー普及の文字はありません。県の「再生可能エネルギー推進計画」には、県内の可能性について、風力発電の「導入ポテンシャルが高く、導入可能な設備容量は294万キロワットが見込まれている」年間降水量が全国トップの石川県には、「農業用水を利用した水力発電については、設備容量4,600万キロワットに相当する賦存量が見込まれており、全国のなかでは比較的多い」と明記されています。そこでお聞きします。能登地区における、豊富な農林畜産資源を活用した場合の、再生可能エネルギー発電の可能性はどれくらいあり、そのことによって、どんな産業と雇用が生み出せるのか、現時点で把握している点を明らかにしてください。また、そうした調査と公表を今後求めます。あわせて見解を聞き次の質問に移ります。

先の自民党県連の調査結果でも、「農業産出額は41%減少。取り組みのインセンティブを高める対策を検討する必要がある」と明記されています。政府による米生産数量目標の来年からの廃止に対し、県農業活性化協議会として「目安」が12月4日、発表されましたが、同じく廃止される、生産調整参加農家に、10アールあたり7500円を一律に支払う、経営安定対策交付金にかわる県の対策は明確ではありません。交付金削減によって、大規模農家では数百万円もの減収になり、稲作農家の経営の困難に拍車がかかることになります。県内ではどれだけの農家に、どんな影響が出ると考えているか、県独自の交付金を設けるべきではないでしょうか、見解をお聞きします。大企業との連携によるコスト削減、成長産業化だけでは、能登の農業再生はできません。農業を続けたい、すべての担い手を支援して、農業で定住・移住できる、思い切った対策が必要であることを強調するものです。

 

対決軸の第3である、命と安全を最優先した県政への転換の角度から質問します。小松基地所属のF15戦闘機に関する事故は、今年度に入ってからも続出。4月4日と7月6日の緊急着陸に続き、11月1日には、パイロットの足のしびれによる緊急着陸で、いずれも民間機に遅れがでています。加えて、8月には、核・ミサイル開発をすすめる北朝鮮をにらんで、核兵器を搭載できる米軍の戦略爆撃機B52Hを「護衛」する共同訓練を行っていたことも明らかになりました。日本海上空での、空自戦闘機とB52との訓練が公になるのは初めてとのことです。これは、軍事力による威嚇を禁じた憲法9条違反、非核三原則を蹂躙する事態と考えませんか。国に対しての抗議、説明を求めるべきではありませんか、あわせてお聞きします。北朝鮮の問題解決は、国際社会が一致結束して、経済制裁強化と一体に「対話による平和的解決」を図ることが唯一の解決策であり、この立場を否定する安倍首相の対応を根本から改めることを強く求めるものです。

輪島市門前町大釜の産業廃棄物最終処分場建設計画で県は11月28日、第1期の施設建設を県が許可したことは極めて重大であり、許可取り消しを求める立場からお聞きします。一連の経過から見て住民合意があるとは言えない状態で許可したことは、大きな禍根を残すことになります。県の見解を求めます。市と事業者が結んだ「生活環境保全協定書」とは別に取り交わした覚書は、非公開になっていることを県としてはどう理解していますか。県として公開するよう指導すべきでありませんか。見解をお聞きします。処分場建設地は、県の鳥獣保護区に指定されており、鳥獣保護管理法において開発行為の規制はないとのことですが、一方、県が鳥獣保護区の期間更新について、住民の同意をとる際に示した「期間更新計画書」には、「繁殖地の環境を現状のまま保全することを基本とし、野生鳥獣の保護を図るものとする」とあります。処分場許可は、これに反するものと考えませんか。環境影響評価手続きや廃棄物処理施設専門委員会では、鳥獣保護区との関係がどう検討されたのかとあわせ、見解をお尋ねします。

関連して、環境汚染問題についてお聞きします。この問題の視点として、1)汚染者負担の原則、2)予防原則、3)国民・住民の参加、4)徹底した情報公開、が欠かせません。地方自治体として、問題が起こっていないからよしとする態度でなく、特に予防原則の立場にたった対応、人体などへの影響が始まる前に必要な対応をとることが求められています。このため、国では、化学物質排出管理促進法=化管法を定め、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するとしており、化学物質排出移動量届出制度=PRTRにおいて、事業者から届け出られた化学物質の、大気や水質等への年間排出量を公表しています。例えば、フッ化水素は、過剰な摂取により、骨硬化症などを引き起こす毒性が指摘され、大気汚染防止法上、「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある」とされる「特定物質」でもありますが、このフッ化水素については、現在開会中の能美市議会でも、市とジャパンディスプレイとの公害防止協定に定める排出量と、PRTRで公表された数値との関係について議論がありました。県と川北町および、JDI石川工場が締結している「公害防止に関する協定書」の「細目協定書」では、フッ素及びその化合物の排出許容限度が定められていますが、化学物質排出移動量届出制度で公表された数値とをどう考えているか、お聞きします。化管法では、国及び地方公共団体の役割は、事業者への管理の改善を促進するため、技術的な助言等を行うとされています。今後、県としてどんな指導・監視をするおつもりですか。以上、知事、関係部長の答弁を求め、私の質問を終わります。

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