県政・県議会 - 県議会

3月議会予算員会質疑

カテゴリー:

県政レポート予算委員会質疑(13.3.14)

 

佐藤:2月の金沢経済同友会の会員懇談会で代表幹事が「余裕のある企業やいい企業は物価目標2%を上回る賃上げの努力が必要だ」とする見解を示したと新聞報道された。賃上げが必要だという声は政府の中からも県内の経済界からも広がっている。知事はデフレ不況克服のために賃金の引き上げが必要だとの認識があるのでしょうか。

知事:デフレ克服のための賃上げという短絡的に結び付けることはできないが、なぜデフレ不況が生じてきたのかの原因をしっかり分析する必要がある。バブル崩壊、リーマンショック、円高、株価下がりで将来の成長に対する期待感が全く持てない中で、企業としては自己防衛に走らざるを得ない、そういう中でデフレ不況が加速していったことは否めない。今、新たな政権のもとで企業に成長に対する期待感を持ってもらおうという形の環境整備が行われている。大胆な金融緩和、機動性のある財政政策、企業が設備投資をできるような成長戦略を3本の矢でやっていこうというメッセージが発せられ、市場が好意的な反応を示している。実質的には上がっていないけれども将来の成長に対する期待感が出てきたということで企業は前向きに取り組みを始めた。そういう環境も整えないで、ただ賃上げをしろしろといっても将来に対する期待が持ちえないのに賃上げだけをするなんて言う選択は企業の経営者としてはできないわけです。春闘の一斉回答も企業は賃上げに向けての選択をしておられる。環境を整えていくことによって企業は収益を従業員の皆さん方に配分するという選択ができるようになってきた。私は非常にいい傾向だと思います。

佐藤:基本的認識が違います。デフレの不況の原因は労働者、国民の所得が減ったことにある。私は賃金が上がることが大事だと聞いたんです。そこはどうですか。

知事:賃金が上がるにこしたことはない。だけど賃金を上げるための環境を整えていかなきゃならない。誰かが指示して賃上げしろと言ったって企業はできない。日本は民主主義国家ですから。企業は存続してこそ従業員の雇用も守ることができ、賃金の保障されることができるわけですから、そういう環境がやっとここへきて整いつつある。昨日の春闘の一斉回答はまさにいい傾向がどんどん出てきている。

佐藤:賃上げが必要だということは共通の立場だと認識しました。要はどうやって賃金を上げるのかということです。県としてどう後押しするのか、本腰を入れるのか、知事の政治姿勢が今問われている。2月の衆議院の予算委員会でわが党の笠井衆議院議員の質問に麻生財務相も「企業はいま巨大な内部留保を抱えていると思っております」と述べ、内部留保のほんの一部を取り崩して賃上げができる条件に企業側はあると認めざるを得なくなっています。知事として体力のある潤沢な内部留保がある企業に是非賃上げをしてほしいと要請をするつもりはありませんか。

知事:賃金は労使の交渉で基本的には決められる話ですから、知事がやみくもに介入するというのはいかがかなと思います。環境をどう整えていくかということについて行政の役割がある。麻生副総理の発言は、環境は整いつつある。だからここはひとつ賃上げをぜひやるべきと、企業も敏感に反応、迅速に適応してほしい、そういう願望を込めての発言であったのではないかと思います。

佐藤:知事は要請しないといいますが、安倍総理より悪いわけですね。ではコマツ製作所の内部留保はどれだけあると県は認識されているのか。

商工労働部長:2012年3月期の財務諸表によりますと約9900億円となっている。

佐藤:全労連の調査では1兆2000億円です。試算しますと、正社員だけでなく非正規雇用も含めて月1万円の賃上げには内部留保のとり崩し率はわずか0.66%です。さらに内部留保後1%取り崩せば4000人雇用を増やすことができる。村田製作所は9085億の内部留保があり、同じく月1万円の賃上げには0.65%です。大企業は賃上げと雇用拡大の体力を持っているんです。なぜ賃上げが必要だということを大企業に要請できないのか、私は疑問です。

なぜ賃金が下がり続けたのか、大きな問題は労働者の3分の1を占める非正規雇用の増加、低賃金の問題があると思います。パネルを見てください。2002年から非正規労働者がどんどん割合が上がっていくわけです。そうすると勤労者の平均給与額は下がっていく。一方で資本金10億円以上の大企業の内部留保はどんどん上がっていく。賃金が下がってきた理由は労働者を不安定な雇用に置き換えて、給与を下げながら大企業はもうけをため込んできた、これが事実です。

知事は賃下げになった社会の大きな原因は非正規労働者が増えたんだと、そこに原因があるという認識をお持ちですか。

知事:私は分かりません。長いデフレ不況が続く中で円高は進む、株価はどんどん下がる。その中で企業の将来を見据えて何としても生き残りを図っていかなきゃいけない。環境が整っていないのに企業にだけ正規社員、正規雇用をしろとか賃上げしろって言ったって企業の存続がかかってますから、容易にそんな決断できないんじゃないか。やっと20年もたってそのことに政府も気がつき始めた。大胆な金融緩和。機動的な財政政策、企業が設備投資できるような成長戦略、まさに企業が望んでいた事柄にやっと政府は腰を上げて立ち向かっていこうと。我々自治体にも機動的な財政政策の一翼を担ってほしいと、今回は3月の補正予算で非常に多額の予算をお願いしているわけです。この流れを大きな太いものにしていかなきゃならない。そのことが従業員の皆さんの待遇改善、非正規雇用を正規雇用につなげていくことにもつながっていくんじゃないか。

佐藤:厚生省の労働経済白書の中で「国内需要の大きな割合を占める家計消費を押し下げている最大の要因は所得の低下である。それは主に非正規雇用者の増加によるものであり、また非正規雇用者の増加が低所得層の増加につながっている」と記し、政府も認めているんですよ。それをなぜ知事は認めようとしないのか。

県内の大企業で働く方からメールがあり、「正社員になれると思ってやってきたけれども、会社を去ることになりました。期待を持たせておいて使うだけ使ってゴミのように捨てて路頭に迷えと、こうとしか感じられません」。こんな悲痛の声が今あるわけです。これと県がどう向き合うかですよ。

管官房長官がわが党の申し入れに対して「最低賃金をもっと上げたかった」と述べました。日本の最低賃金は全国平均で時給749円。アメリカに抜かれて先進国で最低水準です。石川県は全国平均よりさらに56円低い693円です。アメリカでは2007年から11年かけて政府挙げた取り組みで一気に最低賃金を200円程度引き上げました。これで雇用や中小企業の経営が改善する結果となり、当初賃上げに反対していた経営者もこの結果を見て支持するようになり、1000社を超える経営者、重役の声明が2007年の2月8日に全米各地で報道されました。このパネルを見てください。「最低賃金の引き上げが地域経済を押し上げることになる。賃金の引き上げは消費者の購買力を高め、労働者の移動を減らし、生産性を高め、製品の品質を高め、消費者の満足度を高め、会社の評判を高め、したがってビジネスにも利益となる。最低賃金を引き上げている州では、そうでない州よりも雇用情勢が良く、小企業の経営も良好である。企業の数とその従業員の数はその他の州よりも増えている。最低賃金引き上げを批判する論者の予測と反対の結論になっている」と声明されている。

最低賃金を引き上げることは大事だというこのメッセージを知事として発することが大事だと思うが、いかがですか。

知事:最低賃金は国の中央最低賃金審議会の目安を参考にしながら地方最低審議会の審議を経て各都道府県労働局長が決定する仕組みであり、審議会は労働者、使用者、有識者の3者により構成され、県は全く参画しておりません。企業が将来に期待を持てるような環境も整備されつつある状況を考えると、最低賃金を引き上げるような環境はこれから整ってくるじゃないでしょうか。

佐藤:メッセージを発するつもりはないということですね。先ほど申し上げたように大企業には体力があるんです。経営者も認めています。ただ中小企業は大変なんです。ですから中小企業にアメリカは支援したわけです。アメリカでは中小企業向けに減税を行って、5年間で8800億円の予算を組みました。フランスでは社会保険料の事業者負担分を軽減するために2兆2800億円の予算措置をとりました。中小企業が賃金を引き上げて雇用を拡大できる環境を政治の責任で作ったんです。県としてこうした中小企業支援策をとるべきだと思いますが、知事いかがですか。

知事:私、アメリカでどんな対策が取られているか承知していません。日本は日本なりに今の政権も3本の矢を放とうとしておられるわけです。これがうまく軌道に乗っていけば企業の皆さん方も成長に向けていろんな取り組みをしていこうという動きが出てくるだろうと私は思います。中小企業の皆さん方が新たな市場開拓とか商品開発とか受注開拓とか、環境整備についてしっかり後押しをしていく、これが石川県の仕事ではないかと思うわけです。

佐藤:賃金を引き上げて所得を増やして内需を活発にして仕事を増やしていく、この対策をとる政治の責任が問われていることを私は強調しておきたい。

今年度の予算の特徴は投資的経費が昨年比1.4倍、県債残高が過去最高を更新して1兆2570億円に膨らんだことに象徴されるように不要不急の大型開発の復活、県民に過大な負担を負わせるものになっています。そこで、県の投資的経費の全国水準、地方債権残高の全国水準、この推移についてお聞きしたい。

総務部長:投資的経費(標準財政規模に占める割合)ですが、18年度は0.42で23年度は0.33で、21.4%の減です。全国平均は18年度が0.31,23年度が0.25と19.4%の減で、水準自体は全国に比して高い。ただ近年の抑制傾向は本県の方が上回る傾向にある。地方債残高は18年度が3.47,23年度が3.00と13.%の減です。全国平均は18年度が2.68, 23年度が2.43と9.3%の減で、先ほどと同じく水準自体は全国に比して高く、近年の減少傾向は本県の方が上回っている状況です。

佐藤:パネルを見てください。全国順位では地方債残高は04年には2位です。投資的経費も7位から今は19位。地方債残高も投資的経費も全国より高い水準になります。一方で、子どもの医療費などが含まれる児童福祉費。これは24位。2009年は39位です。暮らしを支える民生費は44位と低い水準にあるわけです。ちなみに児童福祉費は市町を合わせますと6位とか10位に上がるわけです。これはいかに市町が子育てに頑張っており、逆に県は遅れていることがよくわかります。

そこで、県の「財政のあらまし」をみると、実質県税と交付税は予算に比べて400億円収入が増えています。では支出の面ではる平成21年から23年の3年間で義務的経費である職員費と社会保障関連費の合計はどうだったのか、投資的経費の合計はどうだったのかお聞きします。

総務部長:職員費と社会保障関係資の予算合計額は、3年間で6056億円、決算額は5956億円です。投資的経費は予算合計額は2728億円、決算額は3193億円となっています。

佐藤:義務的経費は予算より決算は100億円ほど減らしたことになり、投資的経費は逆に465億円ほど増やしたことになります。収入が増えたにもかかわらず義務的経費を100億円も減らし、一方で抑制するとした投資的経費が大判振る舞いしているんです。投資的経費を全国平均並みに減らすと90億円の財源が生まれると聞いていますが、これを中小企業支援とか子ども医療費の窓口無料化に当てることが必要だと私は考えます。

指摘したように不要不急の投資的経費が続く財政構造のゆがみが、すでに36の都道府県で実施されている子ども医療費の窓口無料化に背を向けているのだと私は思います。パネルを見てください。県の乳幼児医療費助成事業の交付要綱には、疾病の早期発見と早期治療を促進し、乳幼児の保健の向上と福祉の増進を図るために子どもの医療費を助成しているんだと書かれています。知事にお尋ねしますが、早期発見、早期治療等の目的達成のためには窓口の無料化と償還払いとどちらが有効だと考えているのか。

知事:指摘のあった目的を果たすために子育て家庭の経済負担の軽減という観点から、本来負担すべき自己負担を県や市や町の公費で助成している。助成の方法については受益者の制度の趣旨と目的を自覚していただくという考えの下、償還払い方式を採用しているところです。

佐藤:医療費助成の目的というのは疾病の早期発見と早期治療の促進であり、乳幼児の保健の向上と福祉の増進を図るためなんです。制度の目的を周知徹底するためにやっているわけじゃないんです。そこを取り違えてないことが必要なんです。私は償還払いにすることが早期発見、早期治療の目的を阻み、受診抑制になっているんじゃないかと思うのです。早期発見、早期治療のために窓口無料化の方が有効じゃないのか、知事に再度お聞きしたい。

知事:受益者に制度の趣旨と目的を自覚していただくために償還払い方式を採用しているということです。

佐藤:県は窓口無料化を拒否する理由の一つに窓口無料にすると市長に対する国庫負担金の減額調整措置が講じられ、市町の財政負担の増加が見込まれるとしています。いわゆるペナルティー、この増加分はどれくらいの規模と県は考えているのか。

健康福祉部長:現行制度で市町の単独実施分も含め窓口を無料化した場合に、国庫負担金の減額調整措置は約1億円になると考えている。

佐藤:そう多くない額です。平成22年10月から中学卒業まで窓口無料化に踏み切った群馬県のことを紹介しますと、群馬県はペナルティーが2010年度決算で11億円にも上り、全部県が負担しているんです。群馬県は平成23年度の当初予算が6700億円ですから、その割合は0.58%です。わが県では平成22年度で実績が3.9憶円、割合は0.07%です。実にわが県の8倍以上の予算を子ども医療費のために投じているのが群馬県です。投資的経費を全国水準並みに抑えれば財源は出てきます。県がここまで窓口無料化に背を向けるなら市町独自でもやるという決断をしているところもあると聞いています。市町として窓口無料化に踏み切った場合、国庫負担の減額は県としてしないと言明すべきだと思いますが、知事いかがですか。

知事:国が行っている国庫負担の減額措置について県が市町を支援するということは、市町が負担すべきものを県が公費により肩代わりするわけですから、適切さを欠くことになり、慎重に検討しなければいけない。

佐藤:群馬県ではやっているんですから、市町に対するペナルティーはやるべきではないということを強く求めておきたい。

拒否の理由に、医療費が増加することが経験的に知られているからと言いますが、これは何を根拠に言っているのか。

健康福祉部長:国においては医療制度における患者自己負担率が減少すると医療費が増加するという過去の実績を踏まえて、国民健康保険の国庫負担金の減額措置をとっている。直近では栃木県が償還払いから現物給付に変更しているが、同県のデータによると子どもの医療費が1.4倍になったと聞いています。

佐藤:先に窓口無料化に踏み切った群馬県では、2011年9月、群馬県議会の厚生文化常任員会で国保援護課長が「救急への過度の依存や時間外診療の増加が懸念されたが、国保診療分の時間外受診を検証したところ、拡大前の92.7%となり減少している。」と述べています。窓口無料化しても時間外受診は減少しているんですよ。群馬県では「その他にも時間外の子どもの救急電話相談や市町への適正受診の啓発などで防ぐことができる」と述べています。実際に保護者の方からも「軽度な症状では様子を見る」と答えた人が89.5%、「無料なのでとりあえず医者に行く」と答えた人は9.4%しかいない。保護者は非常に抑制的なんです。ですから窓口無料化にしても1.4倍には増えないと私は思います。群馬の経験を学ぶべきだと思いますがいかがですか。

健康福祉部長:群馬県の担当部署に聞いてみましたところ、確かに減少しているというところがあったそうです。ただ救急医療の状況の変化や県全体の子どもの時間外診療の全体的な状況については把握していないということでした。国は窓口無料化にすると医療費が増加することから国庫負担金の減額措置をとっているところで、栃木県のデータでは子ども医療費が1.4倍になったというところから、やはり相関関係はあるのではないかと考えている。

佐藤:医療費増加の原因である救急への過度の依存や時間外診療が群馬では減っている、この経験をしっかり学んでほしい。昨年12月の群馬県議会でのわが党の県議の質問に対し、群馬県知事は「早期発見により重症化が防止され、結果的に医療費が抑制される」と答弁しています。保護者のアンケートでも「子供がぜんそくとアレルギーを持っているのでとてもありがたい、ひどくなる前に受診し、薬を使ってコントロールできたので今はほとんどぜんそくの発作もなく、運動部で頑張っている」と言っています。すばらしいことです。私は窓口無料化は重症の防止効果につながると思いますが、いかがでしょうか。

健康福祉部長:繰り返しになりますが、本制度は「疾病の早期発見と早期治療を促進し、乳幼児の保健の向上と福祉の増進を図るという目的のために作られたもので、加えて、窓口無料化による重症化防止の効果が期待できるかどうかについては根拠となる明確なデータや資料がなく、言及することはできないと考えている。

佐藤:窓口無料化になれば早めに病院に行って、早期発見、早期治療につながるのは誰アが考えても明らかなことだと思います。それを認めないのは、いったい県はどちらの方向を向いているのか、問われているではないかと私は思います。

知事は、新幹線開業は千載一遇ということを言われますが、昨年9月の群馬県議会で自民党県議の質問に対し、窓口無料化を「それは活力ある豊かな社会を築くための未来への投資である」と答えています。知事は議案説明で「県民の皆様方のニーズをしっかり捉えながら安心と希望あふれる先進県石川の創造に向け全力を傾注してまいる所存だ」と述べられた。そうであるならば、子どもの医療費無料化を未来への投資ということで、この際きっぱりと決断して踏み切るべきだと思いますが、知事いかがですか。

知事:石川県ではいしかわエンゼルプラン2010というのを策定しておりまして、様々な分野で様々な取り組みをいたしているところです。こういう中で子ども医療費の助成については受益者に制度の趣旨と目的を自覚していただく、そのために償還払い方式を採用しているのであり、窓口無料化となりますと国の負担金の減額措置が講じられるということもありますし、医療費が増加することも経験的にも知られておることです。子育てに関する経済的な負担の軽減については、私はむしろ国全体の問題として検討すべき課題だと思います。子どもの医療費助成についても市町村に競い合いをさせる段階ではなしに国の責任において十分な議論を尽くしていただきたい。

現在進めている県の行政大綱策定の際に最大の課題になりましたのは、社会保障経費のとどまるところを知らぬ増加という事でございました。本件では毎年30億円前後程度増加していく。これは財源の如何に関わらず増加していくことであり、今後も財政の大きな圧迫要因になることは否めないわけです。こうした増加を自治体だけの取り組みだけで賄うことは実際困難です。社会保障関係費の財源を安定的に確保していくために、幸い消費税の増税が決定されたということであり、社会保障改革が今議論が始まったところです。年金とか医療、介護に加えて子育て支援も社会保障制度の改革国民会議の俎上にのることですので、国の動向についてしっかり今後注視してまいりたいと考えている。

佐藤:前向きの答えがなくて本当に残念ですが、わが党は実現されるまで全力を挙げる決意を表明して次の質問に移ります。

くらし応援の施策についてです。まず、国保の充実に関してです。金沢市では国民健康保険料の計算方式が今までの住民税方式から旧ただし書き方式となることが予定され、保険料が大幅に引き上げられるのではないかという声が広がっています。住民税を計算する際に行われていた扶養控除、配偶者控除、障害者控除等が考慮されなくなり、所得から基礎控除33万円しか差し引かれずに保険料が決められることになると、たとえば世帯主のみの給与収入が271万円の4人家族の場合、年間の国保料は18万円から32万円に1.8倍にもなるという試算もあります。こうした保険料が増えることの対応として、2011年12月28日に厚生労働省から自治体独自で保険料の負担軽減策をとるように通知が都道府県知事宛てに来ているはずですが、この通知はどういう内容のものか、金沢市にどう徹底したのか、金沢市の受け止めはどうだったのか、お聞きしたい。

健康福祉部長:国民健康保険法の改正により、今年の4月1日から保険料の所得割の計算方式におきまして住民税額を基礎とする方式が廃止され所得を基礎とする方式に統一されることになりました。この改正に伴い、唯一住民税方式を採用している金沢市が所得を基礎とする方式に変更することとなり、これまで扶養控除や障害控除等の所得控除を受けていた被保険者の保険料負担が増えることになるわけです。このため、負担増となる方に対し、激変緩和の措置を講じる取り扱いが定められた、平成23年12月の通知は政令改正の趣旨について周知を図るもので、県においては金沢市に対して送付するとともに適切に対応するよう助言したところです。金沢市はこれを踏まえ、負担が増える被保険者に対し、2年ないしは3年間の激変緩和措置を設け、段階的に保険料を引き上げる予定であると聞いているところです。

佐藤:激変緩和措置をとることになるわけですが、2年ないし3年が終わったら保険料は以前と比べればこの通達の中では1.8倍になるわけです。保険料の恒常的な負担軽減ができるようにという内容が含まれていたと私は理解しています。いわゆる国保の広域化という国の責任放棄で住民への負担増を行ってしまったわけですから、金沢市が恒常的に保険料の負担軽減ができるよう金沢市への財政支援行うつもりがないか、お聞きしたい。

健康福祉部長:変更の結果、著しく負担が増える扶養控除や障害者控除を受けている方などに対しては、金沢市の判断で政令改正を踏まえた激変緩和措置を講じる予定と聞いているところです。金沢市以外の市町におきましてはすでに所得を基礎とする方式を採用しており、今回金沢市に財政支援をすることはこれら市町との公平を欠くことになると考えます。県ではこれまでも市町国保に対する財政負担を行っているところで、平成25年度予算では約95億円を計上しているところです。現在の厳しい経済環境や財政状況をも勘案すると、さらに国保加入者の保険料引き下げを目的として国保加入者以外の方に新たな負担を求めて県が助成を行うことは慎重にならざるを得ないと考えている。

佐藤:たとえば名古屋市ではどういう措置をとったかといいますと、より住民税方式に近付けるために一般家庭では扶養家族一人当たり33万円の控除をする、障害者の方については一人当たり85万円を控除するという対策を市独自でとっているんです。このことを紹介し、これ以上高くならないよう援助することを求めておきます。

医師不足の件についてです。自民党の代表質問で知事は医師不足について「一時の不足感は解消、将来の医師確保については一定のめどが立った」と答弁がありました。何を持って医師不足解消のめどがたったとしたのか、そのめどは常勤医のことか、診療科目ごとに必要な医師数との関係で本当にめどは立ったのか、お聞きしたい。

健康福祉部長:過疎化、高齢化の進む能登地域、とくに能登北部地域においては、県中央地域等に比べると医療技術が習得しにくい環境があるなど医師の確保が困難な状況にあったところに、平成16年度に新たに導入されました臨床研修制度により医師不足が顕著となったと考えている。

これに対し、本県では平成22年度から診療支援を行う寄付講座等を実施し、最新医療機器や医師住宅等の整備支援、派遣医師を支援するための金大病院CPDセンターの整備等にとりくみ医師確保に努めてきた。金大医学部類に地域医療の現場で診療に従事する医師を養成する特別枠を設置し平成29年度以降はそこに学んでいる医学生が医師として診療に従事することになっているが、寄付講座修了後の平成26年度から28年度までの3年間は診療支援が空白になるおそれがあり、そこで金沢大学、金沢医科大学と調整し、この3年間についても医師が確保できる見込みとなったところです。こうした取り組みで能登北部地域の公立4病院の常勤の医師数は臨床研修制度導入前の平成15年度同等の水準にまで回復し、この水準を維持できるものと考えている。

佐藤:能登北部医療圏の病院にアンケートをお願いしましたところ、このアンケートでは県のこれまでの取り組みを評価しながら、徐々に医者は増えているけれどもまだ常勤医が不足しているという切実な声です。診療科目によっては非常勤医師でカバーしているとの声も寄せられました。首長の一番の仕事は医師確保だというふうにも言われているようです。能登北部の皆さんの切実な声にきちんと応えるよう求めるものです。

知事は一般質問の答弁で「農業は衰退産業と言われて久しい」と述べたが、非常に軽率な発言です。先の総選挙における自民党の政権公約パネルを見てください。この政権公約を守ろうとすればTPPには参加すべきではないと私は思います。知事の認識をお聞きしたい。

知事:安倍総理とオバマ大統領が会談の中で「日本がTPP交渉に参加する場合にはすべての物品が交渉の対象とされる」、「TPP交渉参加に際し、一方的すべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」ということを確認したと私は聞いている。この結果を受けまして、自民党の公約に抵触しないことが担保されたとして、安倍総理自ら交渉参加の判断を行うものと私は理解しているわけです。

佐藤:県としてTPPに参加しないよう強く国に要請することを求めて質問を終わります。

 

以上

 

 

 

▲ このページの先頭にもどる

© 2002 - 2024 Japanese Communist Party, ISHIKAWA